戻る
アヤックス育成システム
ここではサッカー通とはすこし離れて有名なアヤックス育成システムを紹介して
いく。草サッカーなどで子供たちに教えている人などは知っておいた方がいいかも。
ここに書いてあるアヤックス育成システムは全面的にNHKで放送されてものを
使用しています。本当にNHKさんありがとうございます。
Vol.1 −アヤックスビジョンとは−
まずアヤックスとはオランダにあるサッカークラブのこと。欧州では有名な強豪チームで
常に才能のある選手を抱えています。そして毎年一軍(トップチーム)にデビューする選手が
現れます。たいがいここでデビューした選手は世界への出発点になります。各欧州のビッグクラブへと
移籍していくということです。なぜアヤックスにはそんなに若手で才能のある選手がいるのでしょうか
。正しいトレーニングも必要ですがそれにはユースよりも下の年代からの選手の発掘と選抜です。
オランダ国内だけでなく海外からも有能な選手を捜します。アヤックスに必要なのは一つの能力に
すぐれているだけでなく、サッカーにおいての総合力が必要とされます。アヤックスが選手を選抜する
際に基準となる評価があります。それが「TIPS(チップス)」です。
T=Technique これは技術力ですが主に簡単なボールコントロールのことだけです。
トラップやボールを操るときにしっかりと足に吸い付いているかを見ることです。
I=Insight これはサッカーの試合において的確な状況判断などのことをいいます。この判断力や
意志決定の正確さが求められます。
P=Personality 人格のこと。トップの座を獲得するには不可欠な要素です。自身と根気があるばかりでなく
コーチの指導に従い、グループ内で協力し合う協調性なども問われます。
S=Speed 行動の敏捷性、瞬発性などを評価されます。状況判断などの速さなども問われてきます。
ただ単に足が速いだけではないということです。
以上の四行程はアヤックスに入った後も鍛えて行かねばならないものです。試合が始まったら上の四行程が同時に求められる
場面もあるので、ほぼ均等にあげて行かねばならない要素なのです。
アヤックスの戦術やシステムがどのようになるかはアヤックスビジョンによって異なります。アヤックスビジョンの中心にあるのは
試合です。個人あるいはチームでの練習方法もそれに関わっていきます。それには試合を的確に分析しなければなりません。
特定の要素を取り出し徹底的に練習した後、全体の中に組み入れます。たとえばある選手が判断力を欠いた場合はそれがチーム全体に
影響を及ぼします。これではチームとしての戦術が遂行されなくなってしまいます。アヤックスの練習では試合で起こりうる場面を
想定して練習をしています。例えば相手選手と競い会いながらドリブルをしている場面などです。
才能のある選手を最大限まで成長させるのは当然のことです。その際ポイントになるのが先ほどあげた「TIPS」です。
何をどのようにトレーニングするかは「TIPS」に関連しているのです。例えば「Speed」を向上させるトレーニングをしたから
といって「Technique」が上がるとは限りません。主にトレーニングには複数の要素があります。しかし一つのことに集中しては意味が
ない。選手自身がトレーニングの意味と目的を自覚してこそ複数の能力が向上していくのです。アヤックスではできるだけ効果的なトレーニングを
心がけています。試合に必要なものをトレーニングしていくということです。
アヤックスではトレーニングの量についても正確な見解を持っています。幼いときから同じ量の練習をさせておくのではなく年齢に応じた練習量を
必要とするのです。下の図をご覧ください。

これがアヤックスの年代別練習量です。時間は1週間あたりの時間です。赤いグラフはサッカートレーニングでいわばチーム戦術です。黒いグラフは
準備運動のようなごく軽い基礎練習です。フィジカルトレーニングは
年齢によって練習も異なります。若い年代でも12歳から15歳などの体の発育に大いに関連しています。男性の身長の伸びにも影響があります。小学生の時までは1年で3〜4
cmぐらいと一定に伸びていきますが、中学生になると倍ぐらいに伸びます。それと同じように基礎体力などもこの時に伸びるのです。しかしこれには個人差があるので
一概には言えません。これには成熟であったり晩成型であったりとまるでサカつくのような伸びなど様々です。選手をあげるとセードルフは中学生の頃でクライファート
よりも背が高い映像が残っています。セードルフは15歳から身長は止まってしまいましたが、クライファートは15歳から18歳までに背が一気に10cm近く伸びたようです。
そして身長と同じようにサッカーにおける基礎体力なども12歳から急激に上がります。しかしアヤックスでは基礎練習は身長の伸びが終わり始めた頃に集中して筋肉トレーニング
を行うようにしています。その方が体にとって効率がいいようです。下手に背丈が伸びないなどを防ぐためです。早熟型で精神的にも成長している場合は15歳ですぐにユースに昇格したりも
します。筋肉トレーニングもユース年代にあわせても支障がないからです。
時には成長期の選手に大幅な持久力の増加が見受けられるときがあります。これは同じ負荷をかけた脈拍で判断されます。アヤックスでは「シャトル・ラン」といった方法
でそれを計ります。テスト中は脈拍を記録します。この「シャトル・ラン」では20mの距離を往復します。その際機械がある一定のタイミングで音を鳴らします。そのときに
逆方向へ走ります。この音の出るタイミングがどんどんが短くなります。この時の脈拍が最初は高いのだが、それを選手自身が自覚することによって脈拍を抑えることができ
、脈拍が低く維持したままの状態となります。これが持久力の増加につながるのです。成長期に持久力が増加しないと20歳過ぎてからでは持久力を上げるのは至難の技です。
上の図で他に黒いグラフの中に青色と緑色がありますが、これはサッカーエアロビクス・筋力増加・瞬発力養成練習などのことです。サッカーに必要なボールコントロール・
キックとヘディングなどのテクニック・フェイントの動作があります。これらのテクニックをどんな状況でも繰り出し、プレーの先を読むことが大切です。テクニック・スピード・
瞬発力を鍛えることで妙技が生まれ、そして素質もあればなおさらです。主に小学生(1〜3年生)までの間にボールテクニックの練習をさせておくことが望ましい。子供のうちに覚えた
ものは体が覚えるからです。
今度はアヤックスのシステムについていってみましょう。
これが有名な3−4−3システム。主にこれをアヤックスシステムなどと呼ばれたりもします。
この布陣の大きな特徴は真ん中に引いてある赤い線の通り、中央に選手が多いのが特徴。
これによって縦への突破が簡単に行われるのだ。守備から攻めへの切り替えの時に必ず誰かしら
縦の位置に選手がいる。これによって早いパスからすぐに縦への突破ができ、これによってカウンターが決まりやすい
といったことにもなるのだ。この絵の描き方だと分かりづらいが、攻めの時はもっと間隔が狭まった上で攻める。
そしてオフサイドラインも浅くなるため、選手がボールの出しどころが無くて攻めあぐねるといった心配もない。
そして回りの選手と三角形を多く作れることによって必ずボールを持っている選手のそばにフリーの選手がいる。
これによってダイレクトでのパス回しも比較的容易に出来るのだ。FWの選手もサイドへとよっているので
2列目の果敢な攻め上がりから得点出来やすい。それでもフリーの選手が回りにいないときはGKまでボールを返します。
アヤックスシステムではGKもフィールドプレイヤーとして参加することが多いのも特徴の一つだろう。
・これがアヤックスビジョンというものなのだが、分かっていただけただろうか?ちょっと日本語がおかしかったりするところ
もあったかもしれないが、それは勘弁してくれ。つまりアヤックスの育成システムの基本そして評価の基準は「TIPS」
によるとこだろう。そのうちセガあたりがサカつくなどに細かい設定を入れて、この「TIPS」なども含まれるかもしれない。(無理か・・・。)
アヤックス育成システム −その2−
戻る